ノルウェーの地域体制と限界 (★)

この6年、外国での子育てと、そして施設に入って出られなくなったアーレを支えるために翻弄してきました。特に3年前からはアーレが施設に入ることが急に決まり、一人で子育てをしているシングルマザー生活に急変しました。家に戻ってこれると思って救急車で運ばれるのを見守っていましたが、諸理由により戻れない、何度も何度も交渉を重ねたものの実を結ぶことはなく、途方に暮れていました。

なぜ一緒に暮らせられないのか??

それは、呼吸器装着後のALS患者には、様々な器具が必要となり、一部屋あればことが足りるというわけではないのです。

物理的に家が小さすぎることや他を借りようにも、院内感染を受けてしまったので、看護介助士が隔離して休憩できる部屋があることも必須、などと、細かなルールが出てきました。

いつまでも呼吸器での生活が落ち着かなかったアーレはパニック状態がよく現れ、また、この病気のガイドラインがないため、なかなか安定がある日常には至らなかったのです。冷静に日々を過ごすことはなかなかできませんでした。

この町の人口も2万人以下と少ないこと、限られた医療課の人材規模ではALSのように多業種が助け合わなくてはならないのは範疇ではないのです。

そこまでは不要という判断なのです。

知人、友人、親戚を巻き込んで説得を続けましたが、相手は私や患者が制度に過度の期待をしていると立ち会ってくれません。

ひどい時はコントロールをしようとする、とブラックリストに入れられてしまったのか、完全にシャットダウンされてしまいました。

私は口うるさい親族、アーレはコントロールフリーク、精神異常者などと言われることもありました。

IMG_3013.JPG
(2014年11月、唯一バルコニーに出た時。目は久しく見ていない外の景色を眺めようとしている。)

まだ私は、ノルウェーではノルウェー語力がとても不十分なため、定職にはつけず、生活支援を受けながら暮らしています。そういうわけで、私たちは、どこかの町にさっと移るようなことはできません。希望するなら明確な理由が必要です。受け入れ側の体制がALS患者にあったものでなくてはありません。
一方、子供たちの友達関係が変化することでそれに伴うリスクを考えると、私には引っ越しの決断は大きな壁となります。(社会性が違うので日本のように簡単に友人を作れるかどうかは地域次第)
ALSは地域と病院の理解が必須の病気です。地域、県、省庁が一体になり、体制を作り上げないとなりません。

つい最近、年末になって初めて体制にメスが入りました。それは私たちにとっては劇的な変化でした。
アーレにはまだその影響が劇的なものではないので、ピンと来ないものでもあります。

ただ、体制に改革が起きても、この町の仕組みでは、患者の生活の質を向上するのも、医療範囲内でとどまってしまうそれが限界になっています。

そうすると、当然家族という単位で支えたくても、まだ結束ができない。私が車で施設とパートタイムの仕事先と学校への送迎、自宅の四箇所のピストン移動のみが家族4人をつなぎます。

もがきながら、3年が過ぎています。

アーレの我慢も限界、さすがに私も焦ります。

この体制改革のおかげで起きた変化は、
・日常の中で食欲が戻った
・体力が少しついた
・太った!
★筋肉は戻ることはありませんが、脂肪が増えることも筋肉が衰退してゆくALS患者には大きな利点です。

こうなると、頑張りたいという意欲が、活力がアーレにみなぎります。
ですが施設の中で彼が味わっている孤独感がこの生活から脱出したいという想いを募らせませす。
3年も同じ場所にいれば、想いも頂点に達しています。

もう3年間も同じベッドの上です。

日々、彼が一番つらいのは、施設にずっと一人でいること、そして身体に走る神経根の痛み、そして深い悲しみが鬱をずっと招いていることです。

始めのうちはアーレも私のリードに応対し、バルコニーに出たり、シャワーを浴びに言行ったりしていましたが、この一年間はどれも試みることができていません。
一方、長年、自分の体の声を聴き、自分が周囲の助けに支持を出してきたことから、
自分の理念を守るために頑なになってしまい、ケアの向上がかえって困難になります。
もし、ALSに長けた人が看護師、介護士にいれば、心を開けたのか?

どちらにしても、この地域の体制では、私たちの未来の可能性を信じることができない。

まずはこの町を出ることが必須だと彼は言います。私は先に体力をつけ、アクティブな日常を築き上げることができてからのほうがいい、と伝えていますが、彼はここではそれは期待できないと。

頭は明瞭なのに体中がマヒして、何も自分一人ではできない。人だより、でもどの地域にいっても必ず人が作る体制の中で生きていかなくてはなりません。簡単にはこの地域なら!と選択すらできないのが現状です。

希望は捨てない、夢を見たらとことん描き続ける。難しいという気持ちはそのままそこに在りつつも、希望は希望で描き続ける。 そうすれば、それが現実に引き寄せられてくる。いずれ難しいと思っていた課題も逃げずにその存在を受け入れていれば、解決策が見つかる。 そう信じています。

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