アーレの告白: 施設の事情–その3

この文章は、アーレが今唯一コミュニケーションに使える目を使って一字一字時間をかけ書いたものを、翻訳家及びライターの方の協力を得て書きあげてます。

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雇用

 そうこうするうちに、介護施設側は看護士が担当する患者の数を増やした。もう看護士が私の個室で居眠りすることもなくなった。その結果、彼らが私の元を離れる時間も増加したが、そこには個人差があった。シフトの交代の時だけ顔を出し、挨拶もそこそこに部屋から去っていく人もいたし、他の認知症の患者達に食事をさせる短い時間以外は私の部屋に居続ける人もいた。看護士のやる気が低下していることにも気づいた。他の患者達の世話もしなければならないことに彼らが不満を抱いているのは明らかだった。結果、6人全員が同時に辞めてしまったのだ!
介護施設の上層部は、彼らが辞めたのは私が難しい患者だからだ、と私のせいにした。私は看護士の1人ひとりに私のせいで辞めたのか、と個人的に尋ねてみたが、全員が首尾一貫して給料の低さと雇用者側のモラルのせいだ、と答えた。

 かくて、6人の新しい看護士 のトレーニングが同時に行われることとなった。同時に、複数の新しい介助士のトレーニングもしなければならなくなった。こんなに大勢の新しい担当者と1度に関わるのは非常に困難で、いらだたしいことだった。新しい介護士も全員ALSの患者を診た経験もなければ、人工呼吸器を扱った経験もなく、非常にがっかりした。私には、彼らのトレーニングを調整する手助けをしてくれるコーディネイターもいなかった。自分ひとりで各自の細かいところまで調整し、同じ指示を何度も何度も繰り返した。
中にはこちらが怖くなるほど経験不足で理屈が通じないものもいた。たとえば、看護士として30年もの経験がありながら、注射器に満足に薬を入れられない人もいたのだ。注射器のシリンジの端に出来た空洞をなくすというような初歩的なことにも気づかず、それどころかミリリットル単位の量まで間違えた。

 ぞっとするような彼らの振る舞いのあまりの多さに、私は施設の経営側に苦情の手紙を書く必要があると考えた。その時点で、私の介護施設への滞在は2年半を超えていた。経営側から受け取った返答は以下のとおりだ。

 「職業紹介所のコーディネイターと連絡をとる一方、本日、病院のコーディネイション窓口にも連絡をしました。あなたからのフィードバックを受けて、あなたに相応しい介護を自分が提供出来るかどうか疑問に感じ、あなた専属のスタッフたちもガイドラインに沿った仕事が出来るかどうか疑問に感じたからです。私は、ここで看護士と共に過ごすより、介助士たちと共に病院で過ごす方があなたに向いているのではないか、とする考えを提示しました。明日の朝に仲介を担当している部門から返答が来るはずです。彼らは、病院のあなたの担当コーディネイターにも連絡を取ることになっています」

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