アーレの告白: 施設の事情–その2

この文章は、アーレが今唯一コミュニケーションに使える目を使って一字一字時間をかけ書いたものを、翻訳家及びライターの方の協力を得て書きあげてます。

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入所

 介護施設には初日から私を歓迎していない雰囲気があった。私は長い廊下の最も奥にある個室に入った。私が呼吸器を装着して間もなく、MRSA(いわゆる院内感染)に感染してしまったために隔離されることになった。出入り口の扉は閉めておくことを要求され、スタッフも防護服姿だった。黄色い防護服に緑色の頭のキャップ、青い手袋に緑色のマスク。。。その姿は恐ろしげで、私に見えるのは防護服越しに見える2つの目だけ。看護士は、私が想像していたようにナース・センターで待機しているのではなく、私の部屋に24時間つきっきりだった。監禁用の独房に、見知らぬ人々と至近距離でじっとしているのは精神的に大きな苦痛だった。

 2014年の夏は記録的な暑さだった。私の個室は西向きで、しかもノルウェーの夏は23時ごろまで日没しないということで壁が熱をため込む。生きながらにゆでられているような感覚だった。空調も効かなかった。何度か入院のために入った病院では、排痰補助作業や痰の吸引作業の時以外は病室の入り口の扉を開けていることが許されていた。介護施設にこのことを伝え、さんざん説明を重ねようやく医師も納得したが、扉は閉めて入るようにという不当な命令が取り下げられるまでに丸1年が過ぎた。

コミュニケーション

 看護士は簡単なノルウェー語ですら殆ど読むことも話すことも出来ず、英語は全く出来なかった。基本的な会話文を彼らの母語に翻訳するため、私はグーグル・トランスレートを使わねばならなかったが、それを使ってさえ大きな誤解が生じた。残念ながら、グーグルはバルト三国の言語には弱い。たとえば、私が“暑い”と打つと、彼らは私にもう1枚毛布をかける。“キッチンの方へ頭を向けてくれ!”と打つと、キッチンと反対側へ頭を動かす。時には私の生命や健康状態にとって危険な誤解が生まれることもあった。だが、幸運なことに介助士たちはノルウェー語も英語も上手だったので、私の身の回りを補助するためにいてくれた彼らのおかげで事故が起こる可能性は避けられた。

 

知識

 “優れた看護士達”は、私の期待と異なり私の機械に関する知識を殆ど持たなかった。誰もが集中治療室のような場所で数年働いた経験を持ってはいたが、ノルウェーのヘルスケアという観点からすると彼らの一般的知識は旧式に属するものだった。看護士達が誰もそれまでALSの患者を扱った経験を持っていなかったことにもがっかりした。私が使っている人工呼吸器やネブライザー、排痰補助などの機械に関する知識も、介助士と同等のレベルだった。

 殆どの機械を使う資格が介助士に認められていないのは馬鹿げているし、悲劇的だった。彼らはみな看護士の資格を持ち、より高度な言語の知識があり、実際に機械の操作も彼らの方が上手なのに。(病院に入院中に申し出を受けた際に、私が想像していたこととは正反対だ)

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